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ウェルネスウェンズデー協会にみるワーク・スポーツ・ライフバランス

2021.04.13 UPDATE

新しい生活様式の健やかな働き方と身体の動かし方を模索する特集「ワーク・スポーツ・ライフバランス」。今回は、「水曜日は健康と美容に向き合う日」を謳うウェルネスウェンズデー協会にスポットライトを当てます。

今回の、ワーク・スポーツ・ライフバランスな取り組みを行う団体は……
ウェルネスウェンズデー協会

協会の活動
・週1回、何かしらのスポーツを楽しむ成人を増やす
・まずは水曜日からスニーカーでの出勤者を増やす

今回ウェルネスウェンズデー協会について教えてくれるのは……

鈴木努(すずきつとむ)さん。一般社団法人ウェルネスウェンズデー協会 代表理事。株式会社マッシュスタイルラボ 執行役員 レディス営業本部 本部長。

※ウェルネスウェンズデー協会は、ファッションやビューティー、フード事業などを手掛ける株式会社マッシュホールディングスの中で2017年に設立されました。

女性が1番老けて見える水曜日

OYM:どのようなきっかけで「Wellness Wednesday(ウェルネスウェンズデー)」を始めたのでしょうか。

鈴木努さん:「水曜日の午後3時半、女性が1番老けて見える」という研究結果を見つけて、多くの企業が実施している水曜日のノー残業デーは理にかなってたんだなと思いました。 一方でノー残業デーに何をしてるのかなって考えた時、結局みんな飲みに行っちゃっている現状があって……だったら、そんな水曜日をリセットできる日に変えてみたいと思い、Wellness Wednesdayを考えたんです。

働く女性がもっとも老けて見えるのは水曜日の15時30分!?
イギリスの化粧品会社サントロフェが働く2000人の女性を対象に実施した調査で判明した。
「女性がもっとも老けて見える時間は、水曜日の午後3時30分」という2013年の調査結果が最近人気TVで放映され日本でも再び話題に。
wellnesswednesday.or.jp

OYM:ウェルネスウェンズデー協会は、ファッションやビューティー、カフェなどを運営する株式会社マッシュホールディングス(以下、マッシュ)の事業の一つと伺いました。 マッシュがウェルネスに力を入れる理由を教えてください。

鈴木:マッシュでは以前より「ウェルネスデザイン」をスローガンに掲げています。女性の24時間を幸せにサポートするために、アパレルからフードまで多岐にわたりブランドを展開しています。 その中で、ウェルネスな思考の女性を増やしたいという思いがあり、2015年には「emmi(エミ)」というブランドを立ち上げました。 ヨガやワークアウト用のスポーツウェアに加え、動きやすく伸縮性や速乾性などがある機能的な素材を使用したデイリーウェアや、スニーカーとのコーディネートを楽しめるワンピースなどを扱っています。 そういった経緯もあり、よりウェルネスな女性が世の中に増えていってほしいという思いから、Wellness Wednesdayという活動を始めました。

シュッと引き締まった体型で優しい笑顔が印象的な鈴木さんはトライアスロンが趣味。週3日、季節の移ろいを感じながらの朝ランニングが習慣となっているという。

OYM:ここからは協会の活動について伺います。一つ目の活動「週1回、何かしらのスポーツを楽しむ成人を増やす」ではどのような取り組みをしているのでしょうか?

鈴木:水曜日を健康や美容に向き合う日にするために、理念に賛同している会員企業(現在11社)に対して、福利厚生の一環としてヨガやストレッチ、瞑想などのプログラムを提供しています。 また、会員企業同士を繋ぎイベントの企画、運営をしたりすることもあります。

OYM:実際にどのようなプログラムを提供しているのでしょうか?

鈴木:この1年はコロナの影響でほとんど実地での活動ができていませんが、現在は動画コンテンツを制作しています。 会員企業に配信をして、オンラインで簡単にエクササイズができるようにと考えています。 また、マスクによる肌荒れで悩んでいる方も多いので、マスク着用時のスキンケアや夏に向けてのUVケアなど、エクササイズ以外のウェルネスにまつわる動画も展開する予定です。

OYM:コロナ禍の前はどのように活動していましたか?

鈴木:マッシュもウェルネスウェンズデー協会の会員企業にあたるのですが、毎週水曜日の19時から希望社員に対して無料でヨガなどのプログラムを受けられるようにしていました。

マッシュ社内でのヨガプログラムの様子。ヨガインストラクターにとっても多くの人にヨガを伝えられる機会となっている。

加えて、毎月第2水曜日を“スーパーウェルネスウェンズデー”と題し、午前中は全社員が一旦仕事の手を止めて、希望するプログラムに参加する日にしています。 3つのプログラムからの選択制で、体を動かすフィットネスだけでなく、座禅、書道、華道など、心のウェルネスのためのプログラムや、皇居から近い立地を活かして春にはお散歩桜ツアーをすることもあります。

曹洞宗のお坊さんによる座禅講座
書道プログラムの様子

週1回の取り組みから、心も身体もウェルネスに

OYM:Wellness Wednesdayを取り入れて、社内の反応はいかがでしたか?

鈴木:最初は慣れないからか乗り気でない人も多かったのですが、活動を続けていくと「次は何をやってくれるんですか?」といった声や、社員側からやって欲しいコンテンツの提案など、積極的な社員がどんどん増え、楽しんで参加してくれている実感があります。

OYM:好ましい変化や仕事への影響はありましたか?

鈴木:ウェルネスは小さなことでも定期的に行うと、自分自身の生活リズムが正されると思うんです。ヨガをした次の日には「身体が軽くなった」とか「肩こりがすっきりしました」なんて声も聞こえてきますね。 また、水曜19時にプログラムを受けられるとなると、それに合わせて残業せずに仕事を納めようとする人も多くいます。 マッシュ以外の会員企業の場合は、プログラムの実施が月1回だったり、企業によっては年配の方が多いこともあり30分の椅子を使った簡単エクササイズを開催することもあります。 実施回数が少なかったり、時間も短いことが多いですが、それでもアンケートを取ると、効果を実感してくれる方が多いです。 「普段の生活でなかなかやらないことを、会社がプログラムとして提供してくれたことで、身体を動かすことの大切さを改めて実感し、そして自分のマインドも変わってきた」と言ってくれますね。 嫌々やっても心にとってもウェルネスじゃないですよね。週1回、少しでも身体を動かすことで、体調がいつもと違うなとか、睡眠の質が良くなったとか気付けることがあると思うので、そのきっかけを作ることがすごく大事なんじゃないかなって思いますね。

スニーカーベストドレッサー賞に込められたウェルネスへのメッセージ

OYM:「まずは水曜日からスニーカーでの出勤者を増やす」については、どのような活動をしていますか?

鈴木:活動を始めた当初は、パンプスやヒールで通勤している女性が多くいて、社内にも外反母趾や腰痛で悩んでいる女性がいっぱいいました。 女性だってスニーカーで通勤してもいいのではないか、まずは水曜日のスニーカー通勤から始めてみませんか? と提案してみたんです。今では毎日スニーカー通勤をする女性社員が増えてきて、少しずつスニーカーでの通勤が認められてきた実感があります。

3年前からは、「スニーカーベストドレッサー賞」を主催し、「スニーカーが似合う」「今後スニーカーを履いて欲しい」「スニーカーの需要喚起に貢献してくれた」方に賞を贈っています。 今年は人物だけでなく、スニーカー通勤を積極的に取り入れている福井県庁も受賞しています。今までヒールを履くことが一般的だった携帯ショップのスタッフや客室乗務員もスニーカーOKになってきました。 今後はそういった取り組みをする企業に対して積極的に表彰していきたいと思っています。

OYM:企業とウェルネスについてのお考えを教えてください。

鈴木:ウェルネスウェンズデー協会を運営していると、「福利厚生のために何か導入したいけど、何をしたらいいか分からない」といった声を耳にすることが多くあります。 そうした場合私は特に、社員が健康になるよう会社側からアプローチしていくことが必要だと感じています。 また、近年では会社の規模や利益ではなく、会社の取り組みや活動内容に共感できるかが、会社選びにおいて重要になっています。 企業は社員のウェルネスに関することをメッセージとして訴えていくべきですし、その流れは止まらないと思います。

取材を終えて…
働き方が多様化してきているとはいえ、人生の中で働くことに費やす時間は相当なもの。気持ちよく健康的に働きたいという思いは、誰しも持っているのではないでしょうか。 そこで、会社側から社員が健康になれるよう具体的な施策をしていることは、社員にとって嬉しいことですし、社内だけでそういった活動が難しくてもサポートしてくれる団体があることは、会社にとっても従業員にとっても心強いと感じました。 またウェルネスウェンズデー協会では、瞑想や書道、インナーケアなど身体を動かすことに限らず、心の健康にも取り組んでいる点が新しいと感じました。 座禅を組んで自分を見つめる時間を作ったり、書道、華道など普段しないことに挑戦してリフレッシュしたり……健康への様々な選択肢があることは、人々が自身と向き合うハードルを下げることにもなり、実は健康への近道なのかもしれません。

マッシュ、オフィス内。